今までのコンサートの記録

第104回コンサート
アンティゴーニ・ゴーニ ギター リサイタル
ANTIGONI GONI Guitar Recital
2003. 4 .6(日)
Sat.,Apr. 6.2003
プログラム
L.ブローウエル: 黒いでカメロン J.ロドリーゴ: 祈りと踊り
S.アサド: 3つのギリシャ文字
A.バリオス: 3つの小品
F.モンポウ: コンポステラの組曲
A.ヒナステラ: ギター・ソナタ Op.47
コンサート寸評

ギターの世界に知識の乏しい私には、ギリシャ人とギター、キューバ人、パラグアイ人など聞いたこともない作曲家の曲など・・・。どんな演奏会になるんだろうと言う聊かの不安は見事に吹き飛んでしまった。
子供はいないそうだが、若いお母さんが愛しい幼さな子を優しく抱き包むようにして奏でるギターは、軟らかく真綿にくるまれたような、しかししっかりした見事に構成された調べであった。
ギターの演奏はCDで楽しむことはあるが、生の演奏を聴く機会は私の場合そう多くはない。しかし、あんなに丁寧な、心の奥底を表現するような演奏は初めてであった。
ここの演奏会を聴いていつも思うのだが、インターミッションの後の演奏の充実感と盛り上がりがなんとも素晴らしい。今回も期待に違わず、後半どんどん乗ってきた。
美しくギリシャ人らしい端正な顔が一段と紅潮し、至福の音空間を実現させた。
後半だけで入場料の価値がある・・・といつも思う。
演奏終了後に話を聞いてみると、それを裏付ける話がいつも聞ける。
ここで演ずるどの演奏家もプログラムが進むにつれて聴衆との一体感を感じ集中していくらしい。
この日も終演後のパーティーでゴーニさんに聞いてみた。やはり聴衆の反応に共鳴するところ大であったらしい。"あんなに慈しむようにかき抱いていた我が子=楽器を最終曲では何故引っかいたりひっぱたいたりしたの? ノーティーだったから?" と聞いたら大笑いになった。終曲はそれほど活力に満ち、変化に富んだ彼女の技術の高さを感じさせるまた一つ違った素晴らしい演奏だった。
また来て欲しいと言ったら、是非そうしたいと言っていた。今回聴き漏らした方、そのチャンスが来たら是非一緒に我々が味わったような喜びと興奮を分かち合いたいものです。

(神戸隆一郎)