今までのコンサートの記録

第101回コンサート
徳永二男(ヴァイオリン)/堤 剛(チェロ) デュオ <100回記念スペシャル=その2>
TSUGIO TOKUNAGA(Violin)/TSUYOSHI TSUTSUMI(Cello)Duo
2002.10. 5(土)
Sat.,Oct.5.2002
プログラム
ヘンデル/ハルヴェルソン編: パッサカリア (デュオ)
J.S.バッハ: 無伴奏チェロ組曲 第3番 ハ長調
J.S.バッハ: シャコンヌ(無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番より)
コダーイ: ヴァイオリンとチェロのためのデュオ Op.7
コンサート寸評

「この百回目の記念コンサートに選んでいただき、とてもうれしく思います。わたしはここで4,5回やっていますが、とてもよい雰囲気なので、お声がかかって喜んでやってきました。」と、堤さん。「私はここは初めてなんですが、こんなに暖かい素晴らしいコンサートがあるとは知りませんでした。たいへん勉強にもなるし、是非また演奏したい。」と、徳永さん。満員の聴衆を前に、お二人から強いメッセージが語られた。
 百人規模の小スペースの、大橋さんご夫妻主催のコンサートが、12年の歳月をかけて百回を迎えた。世界一級の演奏家から支持され、熱い音楽ファンが集う、音楽を愛好するものにとって垂涎のコンサート。その百回目のパート2記念コンサートは、ヘンデル/ハルヴェルソン編のパッサカリア(デュオ)、バッハの無伴奏ヴァイオリンパルティータ2からシャコンヌ、バッハの無伴奏チェロ組曲3番、コダーイのVnとVcのためのデュオOp7の4曲。
 この日の演奏でとりわけ感動を呼んだのは堤さんのバッハだ。一音一音を本当に抱くかのように、すべての音を慈しむように演奏したバッハだった。そして大きなうねりを創り出した入魂のバッハ。この名曲は様々なアプローチがあって、十人十色の表現があるのだろうが、こんなに慈しみの演奏には初めて出遭って、心から感動を覚える名演だった。
 またコダーイのデュオはあまり演奏されないが、人間の内面に迫ってくる名曲。お二人の熱のこもった演奏で、素晴らしい記念演奏会の締めくくりとなった。 演奏会後、大橋さんから「小さなパーティーをしたいと思いますので、残れる方は是非ご参加ください。」とお声があり、ほとんどのお客様と、堤さん、徳永さんとの和やかなパーティーとなった。日頃演奏家と話すという機会はめったに無いこと。しかし、演奏以外のその個性に触れられることも、また音楽会に通う大きな要因の一つとなろう。また演奏家も聴衆が何を感じているかを会場以外のところで感じる場ともなる。最近、練習風景を公開したり、解説を交えたコンサートなども企画されているが、大橋さんのこういうプロデュースは是非他の音楽会場も考えてみる必要があろう。もちろん音楽会は本番が命、というのが大前提であっての話ではあるが。
 そして、一音楽ファンとしては、今後ともASOで更に多くの素晴らしい世界と出遭いをプロデュースしていただきたいと心から願う。

(2002.10.5 松井孝夫)