朝日新聞1995年5月28日

ギャラリーが舞台 演奏会が来月で50回目を迎える

「演奏者の内面にじむ音。それを肌で感じたい」
町田の大橋さん開催続け6年目 愛好家も評価

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町田市小川二丁目のギャラリー「アート・スペース・オー」で定期的に開かれているクラシックコンサートが次回で五十回になる。九〇年二月に始まってから六年目に入り、臨場感と質の高い音楽を求める人たちでいつも満員だ。会場はふだん版画が飾られている九十平方メートルほどの広さだが、国際的に活躍している演奏家も出演するなど、愛好家からは一目置かれるミニコンサート会場になっている。

コンサートを企画しているのはギャラリーを経営する大橋喜昭さん(52)。大学時代、オーケストラの団員だった大橋さんは、脱サラして八九年五月に陶器と絵画のギャラリーを開いた。その時から、小さなクラシックコンサートを開きたいと思っていた。

知人に紹介してもらったり直接、演奏者のマネジャーに話を持ちかけたりして、九〇年二月、バイオリン奏者の漆原朝子さんのリサイタルを初めて開いた。以来、ほぼ月一回のペースでコンサートを開いている。

会場の定員は百人ほどで、クラシックが中心。出演してほしいと思った演奏者には、大橋さんが直接その人のコンサートを聴きに行き、プログラムを決めた。出演交渉が一年越しになることもたびたびで、それでも「いい音楽を聞きたい」という思いが六年目に入っても続く原動力になっている。

出演した人たちには国際的に活躍している人も多く、イリヤ・カーラーさん、諏訪内晶子さん、堤剛さん、小林道夫さん、若林顕さん、安田謙一郎さんなどもいる。

「ここまで続くとは思わなかった」という大橋さんだが、「音楽を肌で感じられる距離で、そして演奏者の内面がにじみ出るような本物の音楽を聴きたい」とさらに意欲を燃やしている。今後は、コンサートだけでなく、一人芝居など様々な活動にも利用してもらいたいという。

六月十七日に開かれる五十回記念コンサートは、一回目に出演した漆原さんとハープの吉野直子さんの共演。バイオリンとハープという珍しい組み合わせで、ドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」、ジョン・ケージ「六つのメロディー」など。コンサート終了後、小パーティーも予定されている。チケットの申し込みなどはアート・スペース・オー(0427-96-3971)。

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